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預言者
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預言者 第二話 偶然 「正樹…」
正樹に会ってもう一度ゆっくりと話したいと思った
その日はなかなか眠れなかった
正樹のことを考えながら目を瞑ると寝てしまいそうになる
何度も体が動かなくなりそれでも頭だけは起きている状態におちいった
必死に起きようと体を動かそうとした
頭の中で叫び続け
必死に起き続けようとした
パッと外を見てみるともう薄明るくなっていた
気がつけば疲れ果てて寝ていた
何度も目が覚めた
その度に夢を見ていた
その日もいつも通り母親が起こしに部屋までやってきた
体調不良を訴え今日は休むことにした
少しすると部屋をノックする音が聞こえた
母親が薬でも持ってきたのかと思った
「俊也〜、亜依ちゃんが来てんで」
時計を見てまだ学校まで時間があった
「入ってこいって言うて」
しばらくすると亜依が部屋に入ってきた
「おはよう、どう?ちゃんと寝れた?」
「おはようさん、昨日は全然寝てへんな…」
「ほんまかぁ…仕方ないやんな…」
「昨日寝〜へんように頑張ってたけどやっぱ疲れて途中で寝てまいよってん…すぐに起きようとしてんけどな…3回も夢見た…」
「どういう夢なん?」
「一つは餓鬼の頃によう遊んでた忠次(ただつぐ)っていうやつに会う夢」
「その子におうてどうなんの?」
「なんかPCいじってた」
「それだけ?」
「それだけ」
「それなら別にええんちゃう?次の夢は?」
「なんか占い師みたいな部屋に俺がおってそこで誰かと話してた」
「それでどうなるん?」
「金もらってた」
「もし正夢になってもええやん。最後のは?」
「女子高生が自殺する」
「それってどこの?」
「どこやっけ…新聞…新聞で見てん…」
思い出そうと目を瞑った瞬間、そのときの夢が鮮明に頭の中で甦ってきた
「東京…東京や。駅のホームに飛び込み自殺する。17歳の子」「そうなんや…でも正樹のこともMASAKOが死んだのも偶然やって!考えすぎんときぃや!」
「偶然か…」
「そうやって!考えすぎやって!あんたがノストラダムスみたいになれるわけないやん!」
亜依が笑いながら言った
「そうやな…」
俺はベッドに横になって天井をボーっと見つめながら言った
「今日学校休むん?」
「あぁ、せやなぁ…今日は休むわ」
「ほな、亜依も休む。なぁ、今日ここにおってええ?」
「別にええけど。なんでお前まで休むねん」
「あんたが心配なんやんか!」
「そうでっか、ありがとう」
「いいえぇ、ねむない?」
「そら眠いわ」
「そうやんな、ほな寝とき」
「は?お前何しとくねん」
「エロ本でも探しとくわ」
「アホか」
「ほな昨日借りてきたビデオ見てていい?」
「あぁ、別にええよ」
「ほなビデオ見とくわ」
「おう。おばはんがジュースとか持ってきてくれるやろうから待っとき」
「あぁ、うん。ゆっくり寝ぇや」
「おう、おやすみ」
「おやすみ」
すぐに母親がジュースとお菓子を持ってきて亜依はビデオを見終わると俺のベッドの中にそっと入ってきた
亜依も俺のことを心配していてくれたらしくあまり寝てなかったみたいだ
俺を起こさないようにそっと横に来て一緒に寝ていた
目が覚めて時計を見ると4時を少しまわったところだった
横に目をやると亜依が寝ていた
最初は驚き起こそうかと思ったがぐっすりと寝ていたのでそのまま布団をかけてやった
しばらくボーっとしていて気がつくと夢を見ていないことに気づいた
ホッと安心をして正樹のことも偶然だと思うことにした
それでも正樹のことは気になっていたので家に連絡をすることにした
正樹の母親に聞くと鑑別所に40日間入ることになったそうだ
面会はできないそうなので手紙を送ることにした
しばらくすると亜依が目を覚ました
「ん〜…おはよぅ…」
「おはようさん。いつの間に一緒に寝とってん」
「ビデオ終わってぇ…亜依も昨日あんま寝てへんかったから眠かってん…」
「そうか、もうちょぃ寝とかんか」
「もう大丈夫」
「そうか。あぁ、今さっき寝とったけど夢見んかった」
「あぁ、そうなんや。でも正夢になったんは偶然やって!気にせんでええってば!」
「そうやな。あと、正樹のおばちゃんに電話して聞いたらかんべに40日間やって」
「そうなんやぁ…一緒に会いにいこか」
「面会できひんらしいねん。やから手紙送ろうおもて」
「そうなんや…手紙か…あんたでも手紙書くんやな」
「時と場合によるやろ」
二人に笑顔が戻った
晩飯を食べた後亜依は自分の家に帰った
正樹への手紙を書いてその日は何も気にせず眠りにつくことができた
次の日の朝、亜依が家まで迎えに来た
「おはようさん。来てくれたんか」
「うん…」
「どないしたん?昨日も寝れへんかったんか?俺は別にもう気にしてへんって!偶然やろ」
「あのな…今日の朝、新聞見た?」
「いいや、おっさんやあるまいし新聞なんか見ぃひんわ」
「あんたの言うてた女子高生…新聞載ってた…」
「自殺した女子高生か…?」
「うん…」
俺は目の前が暗くなっていった
その場に座りこんでまた考え出してしまった
「俊也!だいじょぶ…?とりあえず家入ろう…」
俺の部屋につき亜依が俺をベッドに横にならせてくれた
「俊也…あんたが言うてた新聞の記事ってこれ…?」
亜依がカバンの中から新聞の切り抜きを出しながら言った
その記事を見た瞬間にあのときの夢がまた頭の中に鮮明に甦った
「これや…」
二人の間にはしばらく沈黙が続いた
俺は正樹への手紙を亜依に渡した
「俺にはやっぱり無理や…あいつに会えへんし…あいつに手紙なんか送れへん…」
「亜依も俊也と同じ状況やったら無理やと思う…」
「はぁ…」
「なんでこんな不思議なことが重なるんやろな…」
「別にな、夢が正夢になることはええねん…それが悪いことっていうのがなんか嫌やねん…」
「そうやんな…気持ちはわかるで…でも悩んでもしょうがなくない?前向きに考えようよ。じゃないともしこれからも同じように正夢が続くようやったら命がなんぼあってももたへんで…」
「まぁな…」
「ん〜…気分転換に外出よう!出れる?」
「あぁ、だいじょぶや」
亜依に連れられるままゲーセンについた
俺はボーっとしたままいろんなことを考えていた
「自分俊也ちゃう?」
「は?」
「あぁ、違ったか。すんません」
目がねをかけた男が俺に声をかけてきた
「忠次か…?」
「おぉ!お前やっぱ俊也やんけ!元気やったか!?学校サボって女とデートか」
「まぁまぁやな」
「どないしてん?元気ないやんけ」
「あぁ、この頃ちょっとおかしなことが続いとってな…」
「おかしなことってなんや?」
「夢が正夢になってんねん」
「それが続いてるっていうんか?」
「そうや…」
「そんくらいのことで何を落ち込んでんねん!」
「MASAKOが死んだん知ってるやろ?」
「おう、知ってんで」
「あれも夢で見てん。あと、俺の連れがポリにパクられる夢、お前に会う夢、俺が占い師みたいになってる夢、東京の17歳の女子高生が駅のホームで飛び降り自殺する夢。占い師になる夢以外は全部正夢になってる」
「それ、ほんまか?」
「最初は偶然やってこの子とも話しとってん。やけど今日の朝の新聞で女子高生の自殺のこと知った。今現在お前と会ってる。偶然にしては重なりすぎてへんか?」
「ほんまやな…」
「別にええ夢やったら正夢になってくれたらかまわんで。やけど悪いことが正夢になったりするんはちょっとな…」
「そうやなぁ…俺なんか全然夢見ぃひんしお前には悪いけどそこまで重なると俺なら預言者目指すけどな…」
「預言者!?お前じゃノストラダムスにはなれんって」
「もしもの話しやがな!そんなに夢が正夢になることが嫌やったら夢見んでええがな」
「誰も見たぁて見とるんちゃうわぃ」
「なんか夢見るには理由があるねんて。いろいろ調べてみたるわ。お前携帯教えぇや」
その日は忠次と携帯番号を交換し亜依と町をフラフラして帰った
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