預言者
第一話 正夢
第二話 偶然
第三話 資料
第四話 ノストラダムス
最終話 世界滅亡


詩へ
絵へ
絵本へ
プロフィール
感想・投稿BBS
小説等を本の形で読みたい方へ
プライバシー・ポリシー

その日の夜忠次から電話があった
「お前明日学校行くんか?」
「あぁ〜…微妙やなぁ…どっちでもええで」
「ほな資料まとめとくから明日10時に今日のゲーセン来いや」
「おう、わかった。さんきゅ」
電話を切ったあと亜依に電話をした
「悪いけど明日も学校休むわ」
「なんで?どないしたん?」
「忠次から電話あって夢について資料まとめてくれとるらしいから明日また会うことになってん」
「そうなんや。何時から会うん?」
「10時に今日行っとったゲーセンで会う」
「ほな亜依も行く」
「アホか」
「なんでよ」
「今回のことでお前に迷惑とか心配とか…なんかいろいろかけすぎやし…」
「キャハハハ、あんたらしくないな」
亜依はなんとも思ってないのか俺を元気づけようとしてくれているのかわからなかった
「やかましいわ。とりあえずお前はちゃんと学校行っていつも通りの生活に戻ってくれ」
「いーやーや!明日迎えに行くからなー」
「やからぁ…」
「ほなまた明日ねーばいばーい」
亜依がそう言った瞬間に体がビクッと動いた
その瞬間に頭の中で何かが駆け巡った
「うぅ…うぁああ…」
「何?どうしたん?」
「あぁ…うわぁああああああああ!!!!!」
「俊也!?どうしたんよ!?俊也!!!」
俺はボーっとしたまま亜依との電話を繋げたままただ上の空でブツブツと独り言を言い続けていた
「俊也!!しっかりしてぇや!!俊也!!!」
どれくらい時間がたったのかわからない
気がつくと亜依が横に居て俺に必死に声をかけながら体をゆすっている
「亜依…ごめんな…」
「俊也…」
亜依は俺を抱きしめて涙を流した
「亜依…」
「ん?どうしたん…?」
亜依は涙を拭きながら必死に答えた
「何で俺だけこんな思いせなあかんの」
「うぅ…うわぁああん!!!」
亜依は俺に抱き着いて声を出して泣き叫んだ
俺はそのままボーっと上の空でまたブツブツと独り言を言い続けた
頭の中ではずっと亜依との電話の最中に流れた映像が映し出されていた
夢を見ているようでいつまでも続いていた
夢から覚めたようにふと亜依に目をやるとぐっすりと眠っていた
亜依の顔を見てしばらくするとまたあの映像が頭の中で流れ始めた
俺は目を瞑って頭を抱えながら亜依を強く抱きしめた
「んぅ…俊也…?」
「亜依…怖い…」
「だいじょぶやで…どうしたん…?」
「夢やない…お前のことが見えた…」
「どういう意味?」
亜依は起きあがって俺の手を握り締めて尋ねた
「夢とちゃうねん…寝てないのに夢で見てるような映像が見えた…」
「どういうの…?」
「お前が病院に運ばれて…忠次らが必死に亜依って叫びながらお前が手術室に入っていく映像…あと血がついた資料が見えた…」
「…」
「亜依…偶然なんやろか…?これってほんまに偶然が続いてるだけなんかな…」
言い終わる前に亜依が口を開いた
「当たり前やん!偶然に決まってるやん!なんか疲れてんのちゃうんかなぁ…一回病院行こか!亜依もついて行ったるし!!」
必死に笑顔を見せて強い口調で言った
俺を元気づけるためだろう
少しでも楽になるように
亜依にかなりの負担をかけているのはわかっていたが今は気を使う余裕もなく言葉でうまく表せない俺には尚更だった
「亜依…ごめんな…」
「なんで?なんで謝るん?もっと前向きにがんばろ!な?」
「せやな…」
「疲れたやろ?亜依気がついたらいっつも寝てもてるからなぁ…俊也、ゆっくり休みぃ」
「あぁ…おう…」
そう言うと亜依は俺を横にならせてくれて布団をかけてくれた
「亜依…」
「ん?」
「ほんまごめんな…」
「別にええってば!気にせんとって!」
亜依は照れくさそうに笑いながら答えた
その日亜依は俺が眠りにつくまで傍に居てくれた

目が覚めると部屋に一人だった
顰め面で時計に目をやると昼の2時をまわっていた
亜依は何処に行ったのだろうとあくびをしているとハッと忠次との約束を思い出した
「あー…やってもた…」
しばらくボーっとした後風呂に入った
携帯をいつも通り風呂の前に置いていつでも誰からの連絡も取れるようにしていた
普段と同じように頭を洗い、顔を洗い、体を洗って浴槽に浸かっていた
眠気は未だ覚めずにボーっとあくびをしながら上を向き口を半開きにしてボーっとしていた
風呂についている時計を眺めながら何秒息を止められるか試したりして久しぶりに夢について忘れて楽な気持ちになれた気がしたそんな幸せな一時を携帯の大きな音が打ち崩した
忠次からの着信だった
「おい!俊也か!?」
「すまん、昨日いろいろあって疲れとって昨日なかなか寝れんくてなぁ…今日起きたのが…」
「アホか!そんなことどうでもええねん!亜依ちゃんが…事故にあって運ばれた」
「は?どういう意味や…?」
「お前が言うた通り昨日遅かったみたいで疲れてぐっすり寝てたみたいやから10時に亜依ちゃん一人で来てくれたんや。ほんでとりあえず資料渡したんやけどこのままバイバイするのもなんか…あれやから…」
「…」
「それから金もあれへんしマクド行って軽く食いながら夢とかお前についていろいろ話してて…亜依ちゃんもなんか疲れてたみたいやから気分転換にどっか連れて行ったろうと思ったけどやっぱ金あれへんし…」
「ほんで何が言いたいねん」
「え?あぁ、ほんでまぁブラブラしとって、お前がそろそろ起きてへんかなって二人で話しててトイレ行くって言うんやけど近くになかったから交差点渡ったとこにファミマあったからそこ行ってくるって言うて…俺はお前に電話しようと思って別に交差点渡ったとこで目の前に見えてるファミマやし大丈夫やと思ったから普通に気にせんかったら大きい音聞こえて…」
「はぁ…ほんでどこの病院や…?」
「名古山の裏の日赤病院」
「すぐ行くわ」
「え?お前…」
忠次がまだ喋ってるのも気にせずに電話を切りすぐに用意をして家を出た
チャリの鍵が無くて家に戻って探すのもめんどくさかったのでそのまま走って病院へと向かった
チャリで15分かかるとこを10分と少しで着いた
そのまま中へと入って行った
「今さっき高校生の子が運ばれてきたと思うんですけど…」
息を切らしながら必死に尋ねるとナースは落ち着いた様子で答えた
「今は手術中やと思うからここを突き当たったところに手術室があるからそこの前で座って待っといてくれる?」
なめたような言い方をするナースに対し腹がたちわざと顔を寄せて
「ありがとうございました」
と憎たらしそうに答えた
走って手術室のほうへ向かって行った
他の患者とすれ違う度にジロジロと見られた
いつもなら誰彼構わず喧嘩を売っていくはずだが気にせずに必死に急いだ
手術室の前に行くと何人かの患者と忠次と亜依の母親の姿があった
忠次がすぐに気づいて俺のほうに歩いてきた
「お前身体だいじょぶなんか?」
「そんなもんどうでもええ!亜依は!?」
「頭打ってるのと腕が折れてるみたいや…」
「意識はあるんか?」
「それがないみたいやねん…」
「ないみたいとちゃうやろうが!亜依連れまわすんやったらちゃんと面倒見ろやボケ!」
「すまん…」
興奮して大声を出している俺達を患者達はジロジロと見ながらヒソヒソと話しをしていた
それを見た俺がつっかかって行こうとしたとき亜依の母親が俺のところへ来た
それに気づいた俺は落ち着きを取り戻し頭を下げた
「ごめんね…」
母親の顔には涙の後がありハンカチを手に持ったまま話していた
「すんません、俺が悪いんです…俺が体調悪くて最近ずっと亜依に迷惑かけてたんです…」
「俊也君は小さい時から知ってると思うけど亜依にはお父さんおらへんやろ…?やからおばちゃんが働かんと食べていけへんのよ…やから亜依の面倒もなかなか見れへんくて亜依には小さいときからいっつも寂しい思いさせてきた…」
俺は黙って頷いて聞いていた
「やけどいっつも俊也君が遊んでくれとったやろ…?やから亜依は俊也君のおかげで今まで笑顔で生活してこれてんのよ…やから亜依が俊也君心配するのも当たり前やから…俊也君は何も気にせんでええんよ…」
涙を堪えながら必死に言う母親を見て黙って頷くことしかできなかった
忠次が俺を少し離れたところに呼んだ
「昨日言うてた資料や。眠りが浅いときに夢見るらしいわ。やから身体をめっちゃ疲れさせてから寝るのが一番ええんちゃうか?あと、いろいろ考えすぎるとそれも眠りが浅くなる理由になるし、寝るときの環境も暑かったり寒かったりしたら途中で目覚めたりするやろ?」
「それだけのことをこんなにいっぱいの資料にまとめたんか?」
「いいや、他に調べたことがあってお前と同じような体験をしとる経験者についていろいろ調べてみた」
「そんな人間おったんか…俺一人やなかったんやな…」
「そうや。有名な人間や」
「誰や?」
「ノストラダムス」
>>四話 ノストラダムスへ    >>このページの上へ