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小説

最低な生き方マニュアル(愛花編)
第一話 孝夫と虐待
第二話 自傷行為と拳創
第三話 裏切りと真美との出会い
第四話 腐ってる人間
第五話 かすみと薬
第六話 勇進との出会い
第七話 本当の愛
第八話 報告
最終話 また会える日まで

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預言者 第一話 正夢 その日から1週間もしないうちにかすみから連絡がきた
「あんた今どこにいるの?」
「家にいるよ」
「今日仕事休みだから出かけようか」
「いいよ」
昼過ぎにレストランで待ち合わせをした
愛花はかすみに会うときはいつも店に出ていたときのような服装や化粧をした
10分前にレストランに着き、かすみにメールを送った
しばらくすると二人組の男がナンパしてきた
愛花は相手にしないでずっと無視していた
あまりにしつこかったのでかすみに電話をした
「今どこ?」
「もうすぐ近くまで来てるから2、3分で着くよ」
「わかった」
「はいは〜い」
愛花が電話を切り終わると
「友達もくんの〜?」
「その子の歳は〜?可愛いっぽいよねぇ〜」
愛花もいい加減うっとうしく感じていると目の前にタクシーが止まった
中からはかすみが出てきた
「おぉ〜!やっぱり!」
「ねぇねぇ、君いくつ?」
かすみは愛花の顔を見てすぐにわかった
「忙しいから後で連絡してきて」
そう言うとかすみは番号の書いた紙切れを渡した
「行くよ」
かすみは愛花の腕を掴んでレストランの中に入っていった
「ずっとあいつらに声かけられてたの?」
「うん」
「番号教えたの?」
「ずっとシカトしてた」
「あんたなら教えてるかと思ったけどね」
かすみが笑いながら言った
「何食べる?」
「前言ってたやつは?」
「後で渡す。先にご飯ご飯」
1時間ほどしてレストランを出た
「服買いに行こっか」
「前言ってたやつは?」
かすみは愛花を見つめてしばらく黙っていた
「家行こうか…」
愛花は黙ってついていった
家に入るとかすみはある部屋に愛花を連れていった
中には女の人がいた
部屋の中は異臭が漂っていて部屋の中のものが滅茶苦茶になっていた
「お〜いしぃねぇ〜」
女の人の手にはティッシュが握られていた
次から次へと口の中へ運んでいる
女の人は愛花に気づいて慌てて布団の中に隠れた
「来るなあぁ!あっち行けえぇ!」
愛花はその光景をしばらくボーっと見ていた
「あんたもこうなりたい?」
愛花は黙ったままその光景を見ていた
かすみはドアを閉め愛花を自分の部屋に連れて行った
「あんたさ、これからどうしていくの?」
「…そう言うかすみはどうするの?」
「…歳考えて結婚もして子供も産むよ」
「結婚しろって言いたいの?」
「そうじゃない。今のあんた一人だったら先が心配なんだよ」
「うん」
「ちゃんとした男の人見つけなさい」
「どうやって?」
「私が探しとくわ。紹介できる子居たら連絡するから」
「うん」
その日はもう家に帰った
何をするにしてもだるくてもう何も考えたくないと思った
それからほとんど毎日家から出なかった
ご飯もろくに食べずただボーっとしていた
ある日かすみからメールが来た
メールアドレスだけが書いてあった
そのアドレスにすぐにメールを送った
「かすみに紹介してもらってメール送ったんだけどわかる?」
1分もしないうちにメールが返ってきた
「わかるよ。14歳の勇進(ゆうしん)っていいます。よろしく。なんて呼べばええの?」
相手が中学生だったことに驚いた
すぐにかすみに電話をした
「メール届いた?」
「中学生じゃん」
「そうだよ。歳は関係ないよ。その子は中学生なりにしっかりしてる子なの」
「でも中学生って…」
「あんたもメールしてればわかるよ」
愛花はかすみの考えていることがわからなかった
馬鹿らしく思いながらも仕方なくメールをした
「17歳の愛花です。よろしく。どこに住んでんの?」
「兵庫やで。愛花ってええ名前やね。」
返事を呼んでまたすぐにかすみに電話をかけた
「どうしたぁ?」
「兵庫ってどこ?」
「関西だよ。大阪とか神戸とかのほう」
「遠いじゃん」
「歳も距離も関係ないって」
かすみは愛花にいろんなの愛や恋を知ってほしかった
その中で本当の愛を見つけてほしかった
「愛花東京なんだけど。遠くない?」
「別に距離なんか関係ないやん。愛花って何してる人なん?」
「そっか。今は何もしてないよ」
「仕事なんもしてへんの?」
「してないよ。あんたは学校行ってんの?」
「行っとるでー。親と暮らしてんの?」
「一人暮らしだよ」
「どうやって金払っとん?」
「前まではキャバしてたけど今は援交して生活してる」
「はぁ?アホちゃうん。好きでもないのにようHできるな」
「Hは好きな人とするものなの?それ以外の人とやってる人はいーっぱいいるけど?」
「快楽のためだけにHして何が楽しいん?そんなに気持ちいいか?」
「気持ち良くない」
「ほんならなんでそんなことすんねん」
「あんたに何がわかんの?中坊の餓鬼のくせに」
「おのれは喧嘩を売っとんかぇ?」
「売ってたら買ってくれんのかな?」
「待っときや」
「待っとくよー」
深い溜め息をついてまたボーっとしていた
しばらくするとかすみから電話がかかってきた
「あんたあの子に何て言ったの?」
「別に何も言ってないよ」
「今からこっち来るって言ってるよ」
「来れるわけないじゃん」
「あの子のこと全然知らないから…」
「ほんとに来たとしてもそれがなに?」
「…」
「愛花を殺しにでも来るの?」
「一回会ってみればわかるかもね」
「じゃあ待っとくよ」
その日の夕方かすみから電話がきた
「あんた今どこ?」
「家にいるけど?まだこないの?」
「今私の横にいるわ」
正直愛花は驚いた
「ほんとに来たんだ」
「言ったでしょ。今からあんたの家の前の公園まで行くわ」
「わかったよ」
ジャージのまますぐに家を出た
しばらく待ってるとかすみと男の子が来た
ヒールを履いてるかすみのほうが少し背が高く顔も不細工で太っていた
かすみは写メですでに顔を知っていたようだった
「なんでこんな子と一緒にいるの?」
愛花はかすみに尋ねた
「こんな子ってどういう意味?」
「顔も見た目もいいようには見えないけど?」
「あんたよりは男の見る目はあると思ってるけど?」
黙って見ていた勇進が口を開いた
「ほんまに調子乗ってんな」
愛花は黙ったまま勇進の顔を見た
勇進の目は冷たく鋭かった
愛花は正直背筋がぞくっとした
何故か体が硬直してしまった
「約束通り喧嘩買ったるわ」
「…いくらで買ってくれんの?」
少し落ち着いてから愛花も言い返した
勇進は黙ったまま近づいてきた
「なに?」
そう言い終わった瞬間に目の前が一瞬暗くなった
愛花は倒れていた
頬に痛みを感じ殴られたことがわかった
勇進は倒れてる愛花を起こしまた殴った
「女やから殴らんとでも思ったか?」
その言葉を聞いて勇進の目を見て愛花は怖くなった
ママと孝夫を思い出した
体が硬直してしまいただ恐怖だけでいっぱいだった
愛花は必死に叫んだ
「痛いっ!!助けてぇっ!!」
勇進は愛花の髪の毛を掴み愛花を見つめて言った
「あんまなめとったら殺すで」
恐怖で涙が止まらなかった
かすみが勇進を止めて愛花を連れて家の中に入った
かすみが愛花を手当てしている間も勇進の存在が怖く気になって仕方なかった
体は硬直したまま震えていた
かすみはそれを見て不安そうな顔で目に涙を浮かべていた
かすみの手が震えてしばらくすると涙が零れた
かすみは顔を抑えながらトイレへ走っていった
ボーっと見ていた勇進が近づいてきた
愛花は怖くてまた叫んだ
必死に勇進に物を投げつけた
勇進は黙ったまま愛花の目の前まで来た
愛花は怖くて顔を両手で覆った
しばらくすると体が温かく感じた
「だいじょぶか?かすみちゃんからいろいろ話しは聞いたよ。お前は悪くないよ。痛かったやろ…ごめんな…もう大丈夫やからな」
目を開けると勇進が愛花を抱きしめていた
愛花の目からまた涙が零れた
今さっきまでとは違う暖かい涙が
「お前は女や。いつか結婚して子供も産むんやから、もっと自分の体大切にしな。旦那さんが悲しむって。お前には俺もかすみちゃんもおるやん。一緒に頑張ろうや」
愛花はいろんな気持ちでいっぱいだった
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