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小説

最低な生き方マニュアル(愛花編)
第一話 孝夫と虐待
第二話 自傷行為と拳創
第三話 裏切りと真美との出会い
第四話 腐ってる人間
第五話 かすみと薬
第六話 勇進との出会い
第七話 本当の愛
第八話 報告
最終話 また会える日まで

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預言者 第一話 正夢 かすみが仏壇の前まで行って線香をあげていた
勇進はそれを黙って見ることしかできなかった
その場から動けずにいるとかすみが勇進の手をとって仏壇の前まで連れて行った
勇進は震えた手で仏壇に飾られた愛花の写真に触れた
勇進は体に力が入らなくなっていた
「線香あげてやって…」
勇進は空ろな目で線香に火をつけた
「かすみちゃん、愛花を呼んだ男の歳は?」
勇進はボーっとしながらブツブツと言った
「17歳だよ…なんで?」
「そいつ高校行ってんの?」
「何もしてないと思うけど…」
「そいつの家行こう」
「何しに行くの…?」
「殺す」
かすみはボーっとしたままの勇進を見て何を言っても無駄だと思った
勇進はポケットから携帯を出して誰かに電話をかけた
「今から言うとこに今すぐ来てくれ」
電話を切るとかすみを空ろな目で見つめて
「連れて行って」
とだけ言った
かすみはタクシーを呼びすぐにその男の家へと向かった
家に着くとすぐにドアの前に向かった
かすみがその男を呼ぼうとすると中から女が出てきた
「何ですか?」
「浩二君呼んでくれる?」
「何の用ですか?あの子死んだんでしょ?もう関係ないじゃないですか」
「やかましいのぉ、黙って男出せや」
表情一つ変えず勇進が言った
女は黙って中に入っていった
しばらくすると男がドアから顔を出した
「なに?」
「ちょっと表でぇや」
「は?お前誰だよ」
「愛花の彼氏や」
「ハハッその彼氏さんが何の用?」
笑いながら浩二が言った
「殺したるから」
勇進は笑顔で答えた
「餓鬼の相手してる暇ないの」
浩二がおちょくるように勇進に言った
「はぁ〜…」
勇進が下を向いて溜め息をついた
すると勇進はドアの横にあった窓を殴った
窓の割れる大きな音と共に中からさっきの女が走ってきた
勇進の手には血がついていた
「はよ出てこいや、くされチンポが」
勇進はニヤニヤしながら言った
男は黙って外に出てきた
女が後から走って出てきた
「ちょっと待っとけや」
勇進はそう言ってその場から離れた
「ハハッなにあいつ」
男は笑いながら女とイチャイチャしていた
かすみは黙って勇進を待っていた
しばらくすると勇進が帰ってきた
「呼び出しといて何して…」
男がそう言いかけた瞬間に勇進が後ろから何かを取り出して殴った
勇進の手には鉄の棒が握られていた
男が倒れて勇進は鉄の棒を遠くに遠くに投げ捨てた
勇進はそいつを何発か蹴った後そいつの上に乗り顔面を殴りまくった
それを見ていた女が後ろから勇進に蹴りを入れた
勇進が振りかえった瞬間に浩二に殴られた
ふっとんだ勇進の上に浩二が乗り今度は逆に馬乗りになられ殴られた
かすみはその光景を見ながらハンカチで顔を抑えて泣いていた
勇進は殴られても抵抗しなかった
頭の中は愛花との思い出でいっぱいだった
「餓鬼が調子に乗るんじゃねーよ!」
浩二が蹴りを入れながら言った
浩二が勇進の投げた鉄の棒を取りに行こうとしたときに6人の男が走ってきた
一人が勇進のところへ来て5人は浩二のほうへ行った
「だいじょぶか?ハデにやられたな。後は任しとけ」
「おう」
勇進が愛花の家で電話をしていた相手だった
勇進の地元の連れで一緒に来ていたのだった
勇進は倒れたまま横を見てみると6人で浩二をボコボコにしていた
「かすみちゃん」
勇進は力の入らない体でかすみを呼んだ
「大丈夫…?」
「あいつら止めて」
「わかった…」
かすみは6人のところに行って止めた
そして6人は俺のところに来た
「だいじょぶか?」
「おう、ありがとうな」
「おう!気にすんなって」
勇進を起こそうとしてくれたがしばらく横にならしといてくれと言った
ボーっとしながら愛花のことばかり考えていた
愛花が死んだなんて全然実感がわかなくてただ寂しさでいっぱいになった
浩二のほうに目をやると立ちあがろうとしていた
それを見て俺は必死に力をふりしぼって横に落ちていた鉄の棒で殴りまくった
しばらくそれを見ていた6人も勇進を止めに来た
それでも勇進はボーっとしながら鉄の棒を振りまわした
「死ね」
何度もそう呟きながら鉄の棒を振りまわした
「お前の気持ちはわかる!もうやめとけ!」
必死に勇進の体を抑え付けながら連れが止めた
力が入らなくなりその場に倒れこんだ勇進の横に浩二も倒れていた
女は泣きながら浩二のところに走ってきて浩二を抱き起こしていた
それを見て何故か悔しくなって寂しくなった
泣きたくないはずなのに涙が止まらなかった
「あああああああ!!!!!!ウザイ!!!!!!!!」
勇進は泣きながら叫んでいた
それを見てかすみが勇進に近づいた
かすみも泣きながら勇進を抱きしめた
「帰ろう…」
連れに肩を借りながらその日はかすみの家に行った
かすみが手当てをしてくれている間、連れは外に遊びに行っていた
「一緒に頑張ろうね…」
「実感がわかん」
「私も最初はそうだったよ…でもちゃんと受け止めて生きていかなきゃいけないの!だから一緒に頑張ろう!辛いときはいつでも私に言ってくれればいいから!」
勇進は黙ったままボーっとしていた
その日は愛花の死を信じることができずに携帯を見つめながら愛花の声を思い出していた
次の日かすみにお礼を言ってから帰った

次の日からいつも通りの毎日が始まる
でも今までとは違う毎日
寂しかったやろう
辛かったやろう
お前は何も悪くないねんで
餓鬼の俺には何もしてやることができひんかったな
ほんまに悪かったと思ってる
今でも思い出すと寂しくなるけど
夢で会えるしいつまでも俺の中で生きてる
疲れたやろう
俺も疲れるときあるけどもうちょっとだけ頑張ってみるわ
ゆっくり休みや
また会えるやろ
次会ったときはちょっとは大人になった俺で愛せると思うから
いつまでも俺のこと見守っててほしい
愛花、大好きやで
また会える日までバイバイ

― 終 ―
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